クライアントの課題・ニーズ
林撚糸株式会社は昭和7年に創業し、独自の撚糸技術で様々な用途に応える高品質な糸を生産しています。
同社は、この技術を活用して耐熱軍手「ATSuBOuGu / アツボウグ」を開発・販売してきました。
元々はプロフェッショナル向けに開発されたものの、アウトドアブームの影響で一般消費者にも人気が広がりました。
しかし、企業は長年、卸売りが主な販売手段であり、自社サイトは10年以上前に作成されたもので更新されていませんでした。
このため、補助金を利用して、サイトのリニューアルと自社での直販を目指すECサイト構築を計画しました。
また、本プロジェクトでは、プロダクト販売による売上拡大は目的ではないため、ブランド名以外のキーワードによる検索エンジンでの上位表示、ECサイトの売り込みなどは現状必要としていません。
人気のアウトドアメーカーのような世界観を表現しながら、本業である撚糸の奥深さを知ってもらい将来的な取引へのきっかけに繋げることをゴールと考えています。
古いブランディングサイト:
自社サイトが10年以上前のものであり、現代のユーザー体験に合わない。
直接販売の限界:
これまでの販売戦略が大手小売業者への卸販売に依存していたため、直接顧客との関係構築が不足。
ブランド認知の課題:
製品の独自性や企業の伝統を、現代の消費者に効果的に伝える方法がない。
解決方法
ブランディングサイトのリニューアル。ビジュアルとナビゲーションの改善:
スマートフォンユーザーを意識したデザインに一新。散漫だった情報を一つのページに集約し、使いやすさを重視。
ブランドストーリーの表現:
クライアントとのディスカッションを重ねる中で、白黒動画やスチール写真を駆使して、製品背景の物語と企業の世界観を構築することに決定。製品がどのようにして生まれ、どんな価値を提供するのかを視覚的に伝える。
動画およびスチール:
撮影は2日間に分けて、工場、キャンプ場、各使用シーンをイメージした協力店舗、企業での撮影を行う
ECサイト「YORIATTE」の開発。Shopifyプラットフォームの採用:
柔軟性と将来の拡張性を考慮してShopifyを選択。有料テーマをカスタマイズし、コストパフォーマンスに優れたサイト構築を実現。
ブランドコンセプトの具現化:
クライアントが提案した店名とコンセプトを基に、工場で廃棄される糸を再利用したテクスチャを作成し、これをロゴデザインに応用。
成果
検索ランキングの向上:
リニューアル後、検索エンジンでの位置づけが向上し、設計キーワードでの1位を獲得。サイト訪問者数が著しく増加。
新規顧客層の獲得:
作り上げたブランド世界観が既存顧客だけでなく異なる顧客層の注目を集め、これまでとは違った反応を得られるようになった。
新たなビジネスチャンス:
プロジェクトがきっかけで、若手のものづくり企業向けイベントへの招待や様々な業種とのコラボレーションのオファーを受けるなど、新たなビジネス展開への道が開けた。
この事例は、伝統技術を持つ企業が現代のデジタル技術を駆使してブランドイメージを刷新し、直接販売を強化し、新たな顧客層を開拓するプロセスを示しています。林撚糸株式会社の取り組みは、小規模ながらも戦略的なデジタルマーケティングのアプローチにより、大きな成果を得ることが可能であることを証明しています。
2023年1月
企画 / アートディレクション / Webサイト / EC / Shopify / CI・BI・VI / ロゴデザイン / 動画制作
担当: OSAKO Jin / HASHIMOTO Ayako
動画・スチール撮影: MURAKAWA Shouhee